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妻と私

評論家の江藤淳氏の奥さん慶子さんが
治癒不能の癌に侵され過ごした日々を綴った
エッセイ「妻と私」を読んだ。

二人三脚で歩んだ
結婚生活の41年間の最後の数ヶ月の日々
本人は生と死の時間だと
綴ったように
淡々と闘病の日々が
綴られているが
その時の気持ちの襞を感じると
胸が裂かれる気がする。

そして奥さんの最後の日々に
ご自身も
病気が発症し
「奥さんを見送り
お墓に治めるまでは、頑張ると」
ご本人の強い気持ちを
感じるエッセイだった。

この本は
奥さんの死で完結になっているが
その後の江藤さんのその後が気になった。

こどもがいなかったので
二人で生きてきた人生を
一人でどのように歩んだんだろう?
何を生きる糧に生きているのだろうと
その後江藤淳氏のその後を知りたくて
ネット検索すると

衝撃の事実が

奥さんをお墓に治めた後
自ら脳梗塞を発症し
きっと不自由な身になってしまって
生きる目標を失ってしまったのでしょうか?
奥さんを納骨した年に自殺していたのです。

ネットでは
その死の直前に書かれた遺書が
名文、素晴らしいと書かれていました。
その死を決意した思いを
力強い言葉で綴られていた。
短い文だが、精一杯生きられた
思い残すことのない人生だという
思いがこちらの胸をえぐる

ここに全文を載せておきます。

「心身の不自由が進み、病苦が耐え難し。
去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来
江藤淳は、形骸にすぎず
自ら処決して形骸を断ずる所以なり。
諸君よ、これを諒とせられよ。
平成十一年七月二十一日 江藤淳」

僕は今、聞いてみたい

「江藤淳さん
今、どう思われていますか?
今でも作家としての綺麗な幕引きに
後悔はありませんか?」

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