ゆず湯の洗礼

 入院していた時
 日常生活通りのことができる時に
 とてもしあわせな気持ちになりました。
 僕が楽しみにしていたのは
 お風呂に入った時間でした。

 入院したばかりで
 まだ安静状態にあった入院4日目の夕方
 看護師さんが部屋に来られて
 「からだを洗いましょう」と言われて
 「エ?まだからだも動かせませんよ」と答えると
 「大丈夫ですよ」、微笑みながら
 洗面器にお湯を入れて
 そしてその中にゆずを浮かべ
 香りのいい温かいお湯をたっぷり使って、
 しばらく洗ってなかった体を
 洗ってくれました。

 お湯の温かさと
 ゆずのさっぱりとした香りで
 からだが目覚める感覚になりました。
 そして
 看護師さんの手のぬくもりで
 心までもぬくぬくして
 入院していることを忘れるぐらい
 心からリフレッシュできたのを今でも覚えています。

 病院には
 入院患者にも
 お風呂に入る時間があり
 その後急性病院では
 週2回シャワーの時間がありました。
 そして
 回復期の病院では
 家のお風呂のように
 湯船につかることもできました。

 からだが温まると
 硬くなっていたかもしれない
 心も柔らかくなり
 つらい環境にあっても
 癒やしてくれることを実感しました。

 入院してても
 日常にあった生活を
 させてくれる病院の計らいには
 本当に感謝です。

 今も憶えてます
 ゆずの香りの清拭の瞬間のこと。
 
 倒れた後、最初に実感した
 生きている喜びでした
 そして
 今まで経験したことの無い感覚をあじわったゆず風呂。
 大げさないい方かもしれませんが
 赤ちゃんが最初にお風呂に入るのと同じように
 新しい人生スタートを祝う
 洗礼だった気もしているのです。
 
 ゆず湯は
 からだの垢を落としてくれただけでなく
 僕のこころに貯まっていた垢も
 洗い流してくれたのかもしれません。

 お風呂で救われた入院生活。
 日本人に生まれてよかったです。

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