無菌病棟より愛をこめて

ミステリー作家の加納朋子さんの
白血病になった
その闘病記を読んだ。

自分も病気で入院してから
機会があれば
闘病記を読むことが
増えて
入院時の思いが蘇ります。

今回手にしたのは
病気は違いますが
題名からすると
血液の疾患、白血病のことだと思い
早速読みました。

著者は
突然白血病を発症し
骨髄移植を行い
10年以上経った今
発病前のように作家活動をされています。

現在ほぼ完治した状態のようだと
推測されました。
そして、読みながら
作家さんの言葉一つが
ひとりではなく
色んな人が話してるように
場面場面が
同一人物でなく
僕が出会った人と重なるのです。

というのは
僕が医者になって
関わった多くの患者さんは
白血病のような血液疾患や
癌と闘っていた
こども達でした。
僕が医者になった頃は
骨髄移植がようやく始まった頃で
僕も医者になりたてのぺいぺいの研修医。

指導医の先生が
指示してる治療や検査を
まちがいなくこなすことに精一杯でした。

検査や治療は
この本で書かれているように
つらいものでした。
でも、こどもたちは元気なんですよね。
治療中でも
治療の影響がないときは
元気にゲームしたり、
それまでの不安を感じさせない
笑顔で頼りない研修医の僕に対しても
接してくれたんです。

色んな思いが去来して
涙が止まらなくなりました。
担当させていただいた患者さんの
笑顔の奥の隠された心情
そして
家族の思い、苦労は
想像はできても
当時は自分のことのように
共感できていなかったのかもしれない。
もちろん精一杯してたけど
自分の未熟さを思いだし
頑張っていたこども達、ご家族の
当時の姿が浮かんできたり、消えたり・・・

今僕があるのは
当時のこどもたちが
どんな時も背中を押してくれて
今も医者でいさせてくれているのだと
読み終わった後
今まであった全ての患者さんの思いを
しっかり受け止めて
今日も診療していくんだと
改めて決意するのでした。

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