日別アーカイブ: 2023年7月5日

父親の愛と確執の中で

映画「銀河鉄道の父」を観た。
この映画は感のいい人ならおわかりかも
しれませんが
作家、詩人の宮沢賢治と
その父・正次郎さんとの物語。
そして、主人公は父親である。

映画のオープニングは
初めてのこども、それも男の子が生まれ
喜ぶ父親のシーンから始まった。
こどもの溺愛ぶりはすごく
賢治が赤痢で入院したときには
父自ら、周りの反対を押し切って
入院に付き添い
賢治の赤痢菌をもらってしまい
父親自身も赤痢にかかり
その後も胃腸は弱かったというエピソードが
流れ
父のこどもをどれだけ愛してかの
エピソードが紹介された。

でも
賢治が思春期を過ぎると
賢治自身の夢があり
やりたいことができてくる。
そして、父親には
家も商売も守らないと言えない
そのため賢治とぶつかり合うことが起こる

親子の確執が
親子でも男の子同士だと起こってしまう。
宮沢家でも
愛情があっても
家を守るために
進学や職業の選択でもめることは
どこの家でも多少なりともあるでしょう。

宮沢賢治も
将来やりたいことをし
信仰する宗教も家とは違う者を選ぶなど
父親と度々衝突するのです。
衝突しても、反対しながらも
賢治が不自由なく自分の道を
歩めるようにするのも
どこにある父子の姿かもしれない。

表面上はその父子の姿を
描いたハートゥームな映画に見えたが
賢治や父の正次朗さんの科白の奥に
深い意味がある気がした。

その映画を見終わって
以前TVで、宮沢賢治と父の秘史として
賢治も父も語っていない
伊勢神宮や真言宗などのお寺を回った
旅について
考察した番組をみた。

そこには
映画ではもちろん描いていないし
賢治の伝記などからは
伝えられなかった
賢治の思い、それを必死に受け止めようとする
父親との旅であったというのだ。

そのことを知ると
臨終の2人の関係
賢治が亡くなった後の父の深い行動も
納得できる。

結局
ひと言で言えば
父親は、こどものすべてを受け入れる
愛にあふれた存在であると納得した。

その父親の姿、行動の意味がわかったとき
正次朗の姿が
自分の父親の姿とも重なり
父親の愛情を改めて実感したのです。

賢治の人となりがわかればわかるほど
深く、深く
考えさせられるいい映画でした。

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