「あかねさす紫野行き標野(しめの)行き
野守(野守)は見ずや君が袖振る」額田王
これは万葉集の載っている有名な和歌。
額田は少女のころから
大海人皇子(後の天武天皇)の后で
二人の間には十市皇女が生まれ
後に額田王が中年になった頃でしょうが
天智天皇の后になったかたです。
多くの心情豊かな和歌を残しており
きっと才色兼備の美女だったのでしょう。
天智天皇が近江の地にに遷都するのですが
その時に近江で遷都を祝して
大宴会が催され
その時に額田王がかつて会いを交わした大海人皇子に
向けて歌った歌です。
意訳すると
「紫草がずっと咲いているきれいな野原。
あなたは人がみているのに
おおぴらに私に手をお振りになったりして」
これの歌に大海人皇子の返しの歌は
「紫野にほえる妹を憎くあらば
人妻ゆえに恋ひめやも」   です
意訳すると
「紫野ように美しいあなた、
あなたを今でも恋すればこそです。
あなたは人妻だけど
あなたに想いを残しています」
なんと現代でもありそうな恋愛事情が
古代にも変わらず合ったのですね。
とても艶やかな歌のやりとりです。
