北原白秋といえば
「赤い鳥小鳥」「からたちの花」など
なつかしい童謡の作詞をした
日本を代表する詩人。
ということは知っていても
その人生は、自由奔放に生きていたようで
現代に置き換えても
スキャンダラスな人生だったような気がします。
晩年は糖尿病、腎臓病のため
眼もほとんど見えなくなり
床に伏して、視線を彷徨った時の
思いも書き残されている。
亡くなる直前の状況を平静に受け止めて
次のように書き残している。
「長い五年の薄明の生活であった。
しかし私は平静にこれを受け入れ、
むしろ内的に深度を楽しんできた。
仕事の手を少しも休めてはいない。
あの暗黒の洞窟を潜り抜けてきた私の歩みは
この後といえども道の歩みとするだけである」と。
この時の状況を想像すると
どんなに不安な気持ち
不自由さに苦しんでいたに違いないけど
そのことにジタバタせずに
平静に受け止めて
いきていこうという
白秋の強さを感じる。
死を迎える前に
こんな進境で生きていければ・・・
と思うのでした。