子煩悩の歌人山上憶良の歌

山上憶良は奈良時代の歌人で
当時の知識人の一人で
中国の最新の知識を日本に紹介した人です。
万葉集にも多くの歌が収められており
ジャンルもさまざまですが
子を思う親の心情を歌った和歌は有名です。

「瓜食めばこども思ほゆ 栗まして食めば偲ばゆ
何処より来たりしものそ
眼交(まなかひ)にもとな懸かりて
安眠(やすい)し寝(な)さぬ」

意訳
「瓜を食べると
あの子はこれを好きだったと思いだしてしまう。
栗がごちそうに出てくると
これはあの子が好きだったと思う。
こどもって一体どこから来たのだろう。
目の前にいつもちらついて
安眠することができない。」

この歌を読むと
瓜や栗は
今で言うお菓子のようなもの。
こどもたちが美味しく食べている姿を
目を細めて喜んでいる
父親・憶良の姿が浮かんできます。

そして、この歌に対して

「銀(しろかね)も金(くがね)も玉も
何せむに勝れる宝子に及(し)かめやも」

この歌から
子宝という言葉が生まれたと言われています。

子を思う親の気持ち
そして子育ての風景は
1000年以上経っても
変わっていないのですね。

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