Q&A
花粉症ではどうのような漢方薬が使われているのですか?
いまや国民病ともいえる花粉症。
さまざまな治療法や予防法の情報が溢れていますが、今回漢方の視点から花粉症治療をお話しし、自分に合った対策を練るのに、ご参考にされてください。
アレルギー性鼻炎・花粉症とは?
鼻粘膜におけるアレルギー疾患で、発作性反復性のくしゃみ、水様鼻汁、鼻閉(鼻づまり)を3主徴とします。
このうち、花粉を抗原とする場合を特に「花粉症」と呼びます。
眼のかゆみ、充血、涙目などを併発することもあります。
また、頭がボーとしたり、不眠などの症状を呈することもあります。
花粉症のアレルゲンとしては、スギ(2月~4月)、ヒノキ(3月~5月)、カモガヤ(イネ科、春~秋)などをはじめ、60種類にものぼります。 一方、ダニ、ハウスダスト、猫の毛などがアレルゲンとなり、季節と関わりなく一年中症状が見られるものを、「通年性アレルギー性鼻炎」と言ってます。
次に治療についてです。
花粉症における「西洋医学的治療」は、抗アレルギー薬、ステロイド剤などの薬物治療が基本となります。
また、花粉のエキスを薄めた液を定期的に皮下注射して、徐々に免疫をつけていく減感作療法もありますが、毎週1回、1年から数年かけて行っていくので、時間と根気が必要になります。
最近の抗アレルギー薬は比較的眠気などの副作用が少なく、効果が高い薬も開発されており、西洋医学的治療で十分対処できる場合も少なくないでしょう。
しかし、どうしても眠気が気になる場合や、ステロイド剤を連用しなくてはいけないほど重症である場合や早く症状を改善したい方には漢方薬を併用されることをお勧めします。
「漢方薬」には、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどのように、表面に現れている症状に対して処方する『表の薬』と、アレルギーを起こしやすい体質を内側からよくしていく『裏の薬』とがあります。表の薬は即効性があり、症状の軽減に役立ちます。
裏の薬は数ヶ月単位で日頃から飲み続け、体質そのものを改善していく薬です。 以下に、『表の薬』について、以下のタイプ別のような症状に合わせて使います。
(1)グジュグジュタイプ:
くしゃみを連発して、鼻がむずかゆく、透明な鼻水が出る。目がかゆくて涙が出る。
(2)ゾクゾクタイプ:
(1)の症状に加えて、寒気を感じ、手・足・腰などが冷える冷え症の方。疲労倦怠感が強く、疲れやすい。
(3)ストレスタイプ:
(1)の症状に加えて、鼻・耳・のど・胸の閉塞、圧迫感、肩~首のこりがある。寒さやストレスで症状が悪化。各種の薬により胃腸の調子が悪くなる。
(4)ネバネバタイプ:
鼻づまりが強く、粘り気があって黄色い鼻汁、咳、痰、目やにが出る。暑いところや温風にあたると、症状が悪化する。
(5)カラカラタイプ:
鼻づまりが強く、口で息をするため、鼻・のど・口が乾燥してガサガサになる。唇が乾燥して鼻やのどが痛む。空咳。のどの渇きが強く、冷たいものを欲しがる。空気が乾燥すると悪化する。
などの症状と体質から判断して、漢方薬を選択して行きます。
その人の体質を改善する『裏の薬』としては、補中益気湯・人参湯・六君子湯・柴胡桂枝湯・小柴胡湯などがあります。
さまざまな治療法のある花粉症。症状を改善する西洋薬、その人の状態を改善する漢方薬。うまくこれらの薬を使い、つらい花粉症の時期を乗り切りましょう。